2018年10月19日 06:00
天皇陛下の執刀医、初めて明かす6年前の心臓手術の舞台裏
国民とともにあるため、陛下は徹底的に公平の原則を貫いてこられたんだと改めて感銘を受けました」
陛下の信念に触れ、天野さんも仕事に対する姿勢を変えた。
「以前は部下任せにすることも多かった緊急手術を、極力すべて自分で引き受けるようにしました。経験値がいちばん高いものがあたれば、緊急といえど、高いレベルの治療が提供できるからです」
いつ飛び込んでくるかわからない手術のため、酒もきっぱり断った。
「当時の僕は、年間500例の手術をこなしていました。だけど、それは結局、自分のためだったんです。手術がうまくなりたい、有名になりたい、症例数を増やし学会で名をなしたいって」
そんな、思い上がった気持ちも、奇麗さっぱり捨て去った。
「陛下のおっしゃる公平の原則を、僕なりに守るにはどうしたらいいか。それは、どんな患者に対しても、自分のベストを尽くすことだと思いました。
それを続けることができれば、周りの人もきっとついてきてくれる。天皇陛下も、そうじゃないですか。自分の中で公平の原則を常に意識し、きちんと守っていらっしゃるからこそ、国民誰もが尊敬のまなざしを向ける。そんなところを、ちょっとでも、僕もまねしていきたい」