元号専門家語る「政治的意図はあったが政治的ではない『令和』」
こう話すのは、元号研究の第一人者で、『元号 全247総覧』(悟空出版)の著者でもある、東京大学史料編纂所の山本博文教授(62)。意外だったその理由は?
「“令”というのは、漢文の中では“~させる”といった使役の意味で使われる字なので、これは予想外でしたね。過去に一度も使われたことはなかった字ですから。中国の古典ではなく、初めて日本の古典から元号が選ばれましたが、これが今後の元号選定の新しい流れになるでしょうね」
『令和』が発表された翌日には、残りの5候補(『英弘』『広至』『久化』『万和』『万保』)も明らかになった。
「江戸時代の『天保』『万治』『弘化』『文久』など、過去によく使われた字が入っているで、『久化』『万保』『万和』には、新しさは感じませんでしたね。逆に『広至』の“広”は0回、“至”は1回だけなので新鮮でした。また『英弘』は、かなり人名でかぶることになるだろうという印象を持ちました」
安倍総理の意向が働いた?
「日本の古典から候補を出すと決まった時点で、政治的な部分を感じましたが、今回の『万葉集』の文章には、政治的な部分はありません。そういう意味で、“落としどころ”としてはいい元号だったのではないでしょうか」