婚姻20年以上の配偶者なら「生前の家の贈与」は遺産分割の対象外
遺産分割するというのが基本だった。
しかし、今年7月から、「婚姻期間が20年以上の配偶者」は、自宅の贈与に限り、「持ち戻し」が、“免除”されることになった。
「改正法により、遺言がなくても、生前贈与された自宅に関しては『相続財産に加えない旨を被相続人が意思表示した』、つまり故人に『持ち戻し免除の意思表示があったもの』として考えられるようになりました」(外岡さん)
このケースの場合、D子さんが生前贈与で受けていた自宅の2,000万円は相続財産に含めないでよくなるため、夫の死後に残ったお金である「3,000万円」のみを、夫の前妻の子と2分の1ずつ分ければよいということになる。
「さらに、婚姻期間20年以上の夫婦間では、自宅の贈与に限って2,000万円まで贈与税はかからないという特例がある。つまり、これらのルールを知っていれば、贈与税も払わず、ほかの遺産の取り分を減らすこともなく、D子さんは夫から自宅を継承できるのです」(松下さん)