くらし情報『サリン冤罪被害者の河野義行さん 元オウム信者と交流続けた訳』

2020年3月9日 11:00

サリン冤罪被害者の河野義行さん 元オウム信者と交流続けた訳

私も犯人にされるという、これ以上ない理不尽な目に遭ったわけですから」

サリンの被害に遭い、澄子さんと救急車で病院に運ばれた河野さん。長男の仁志さんに「お父さんも、お母さんも駄目かもしれない。あとのことは頼んだぞ」と伝えたものの、入院中に事態は思わぬ方向に。「お父さんが殺人犯にされている」と、見舞いに来た長男から聞かされた。

理不尽な取り調べを受け、自宅に戻った河野さんは、通帳などを整理し子供達の前に並べてこう言った。

「お父さんが逮捕されたら、このお金を、お前たちの判断で使ってくれ。なくなったら学資ローンを解約して、足りなかったら家と土地を売れ。大学に行きたいならきょうだい3人でローテーションを組んで行きなさい。
ふたりが働いたら、一人分の学費は工面できるから」

長男の仁志さんは、事件直後から「父さん、母さんに何かあれば大変になるけど、どんな状況でも楽しみを見つけて生きていける」と言って安心させてくれたという。

「長男は事件後、学校を休んで病院と学校を往復し、弁護士との連絡役にもなってくれました。警察の取り調べやメディアの対応も一手に引き受けて。わずか1カ月で急に大人になった。させられたというべきか」

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