“過剰なまでの虫嫌い”増加の理由は「感情の誤反応」…東大院が分析
「興味深かったのは、虫を識別する能力が高い人は、ゴキブリなど『嫌悪を感じる虫』とテントウムシなど『嫌悪を感じない虫』がはっきりしていましたが、虫の識別能力が低い人はテントウムシにも高い嫌悪感を持っていることがわかりました。アリなど身近な虫に対しても、屋内でみると強い嫌悪の感情を持つ人が多かったのも意外でした。唯一カブトムシだけは、屋外と屋内のどちらでみたときも嫌悪感に差がありませんでした。室内で飼う文化が根付いているからでしょう」
■人間が生きのびるために備えた「恐怖」と「嫌悪」
さらに、過剰なまでに虫を嫌う人の背景にあるのが、“感情の誤反応”にあるのだという。
「虫嫌いの人が、虫に対して抱いている感情は『恐怖』ではなく『嫌悪』だといわれています。どちらも人が生き延びるために備えられている感情です。『恐怖』は捕食者に対峙したり、危なかったり暗い場所で起こるもの。身体的な害を避けるために持っている感情です。
一方で『嫌悪』は、感染症や病原体などを避けるために人が根源的にもっている感情とされています」
感染症を媒介する病原体は目に見えないもの。そんな命を脅かすものに接すると「嫌悪」という感情が働いて、その場から逃げようとする。