2022年6月4日 06:00
「歌を歌って」息子が歌手目指すきっかけ作った耳の聞こえない母からの“お願い”
話を聞いてあげられず申し訳ないと思って、『歌を歌ってほしい』とお願いしたんです。
一成は喜んで、毎日歌うようになりました。歌が聞こえなくても、歌わせることが、私にできることだったんです。聞こえなくても、私のために一生懸命に歌ってくれていると思うと、心が暖かくなって、仕事の疲れが取れていくのを感じました」(美紀さん)
母の背中を見ながら、全力で歌っていたことを一成さんも記憶しているという。そして、一成さんはどんどん歌うことが好きになっていった。
美紀さんが、一成さんにとっての歌の大切さを感じた出来事がある。
「一成は小学校3年生から歌のスクールに通っていたのですが、中学2年生のときそのスクールが閉校してしまったんです。スクールにいかなくなってから、一成は暗くてイライラするようになりました。
やっぱりこの子は歌がないと、生きた心地がないのかなと思うようになったんです」
一成さんにとって、歌がどれほど大切かを実感した美紀さんは通っていたスクールの恩師を探しだし、レッスンを再開してもらえるように頼み込んだ。「私は音楽のことはよくわからないんですけど、やっぱり一成には音楽が必要なのかなあと。