くらし情報『精神科医・香山リカさん 北海道で僻地医療を「自分をだますのはやめました」』

2022年9月25日 06:00

精神科医・香山リカさん 北海道で僻地医療を「自分をだますのはやめました」

医師もそのつどフルPPEという防護服に着替えました。

裏口の検査場と、一般外来での診察の往復だけで、1日10回近くにもなったんです」

慌ただしく日課をこなす香山さんに、その決断と転身の真意を語ってもらうために、北海道むかわ町穂別をたずねた。

■中村哲さんが凶弾に倒れて。「私のような人間がのうのうと生きていていいのか」と

「精神科医・香山リカ」として、多メディアでの活躍を続けてきた香山さんだったが、ここ10年、つらい経験に続けて見舞われた。

両親との死別である。

’10年に父が82歳で他界すると、母は小樽で独居を望んだという。

「私は、母を東京に呼び寄せようと何回も説得したのですが、母は『絶対にいやだ。迷惑かけたくない』と。
私と弟の自主的な生き方を尊重する両親でしたから」

そして父が亡くなった2年ほどあとに、母の肺がん闘病が始まる。

「私は月1、2度、小樽に帰って母の様子を見ていました。そこでも、母は『ひとりで頑張る』と」

そんな最中の’17年、香山さんは立教大のサバティカル休暇で1年間、授業のない期間を得た。

大学の同級生の依頼で、四国に講演に出向いたときのこと。

「その彼が四国の山あいの診療所を父親から継いだことを知りました。

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