2022年11月27日 06:00
自殺や早世…十三代目襲名の海老蔵が背負う“市川團十郎の重圧と業”
戦後、女性人気を一身に集め、『海老さま』と呼ばれた十一代目はとびきりの美男子で、女の人はみんなドキドキしたもの」
そう語る関さんが『源氏物語』で思い出すのが、その孫にあたる、新團十郎のデビュー時のこと。
「まだ本名の堀越孝俊で『源氏物語』で初お目見えしたとき、歌舞伎座の案内嬢たちが彼の出てくる場面になると仕事を忘れて(笑)、劇場のうしろから入ってきて『かわいい!』『きれい!』って、うっとりするという現象がありました。それくらいセンセーショナルなデビューだったんです。その姿が、十一代目にそっくりで、『隔世遺伝』なんて言われましたね」
十一代目が、團十郎を襲名したのは53歳。かなりの高齢だが、養子であることに遠慮した結果であったとされる。葛西さんは、
「その前が50年以上、團十郎が不在でしたから、この間のいつ復活するのかという重みが、十一代目にのしかかっていたんですね。これは相当な重圧で、だから十一代目は團十郎を継いで、わずか3年で亡くなってしまうんです」
まだ19歳の長男(のちの十二代目團十郎)を残し、胃がんにより逝去したときは56歳だった。
その十二代目の襲名が行われたのが85年。