自殺や早世…十三代目襲名の海老蔵が背負う“市川團十郎の重圧と業”
お父さまが、あの『勧進帳』のとき、『実は倅が家出した』と打ち明けたんです。つまり、市川家伝来の演目を演じるというのは、それほどのプレッシャーなのだと。
『僕は、もう倅に継がせなくていいと思った』ということまでおっしゃいました。『息子はまじめで考えすぎるほどに考える』とも」
当時の心境を、十三代目團十郎本人も、新之助時代に出版した写真集『新生CREATING NEW FORM』(スイッチ・パブリッシング)のインタビューでこう話していた。
〈もう地獄。素っ裸で冷たい風に打たれて、右へ左へ、涙がこぼれてきた〉
この「地獄」を乗り越え、新之助はやがて海老蔵となり、己れの道を突き進んでいく。
〈坊ちゃんとかそういうものを捨てて、周りが何と言おうと俺は俺でもう生き始めた〉
しかし、その眼前に待っていたのは、さらなる茨の道。父親の白血病が発覚したのが、04年の自身の海老蔵襲名披露公演中のこと。
その後、10年秋には暴行事件に巻き込まれ、3年後には父が66歳で逝去する。
そこから9年間、十三代目を襲名するまで、また團十郎不在の時間が過ぎていったーー。
【後編】天国の小林麻央さんと子どもたちとの強い絆海老蔵が十三代目團十郎にへ続く
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