くらし情報『「弟はなぜひとりで死んだのか?」コロナ放置死遺族の真相を探る旅に密着』

2023年1月22日 06:00

「弟はなぜひとりで死んだのか?」コロナ放置死遺族の真相を探る旅に密着

保健所の職員も増員され、〈連絡が取れない〉など緊急性の高い罹患者については、責任者が朝一でスタッフに声がけし、優先的に電話するようになった、と。きっと職員の方々もつらかったんやと思う。弟の死はむだじゃなかった……」

率直に話してくれたことがうれしかった。そして何より弟の死を教訓にしてくれていることが大きな慰めだった。

翌12月1日、高田さんは、善彦さんがPCR検査を受けた那覇市内のクリニックを訪ね、院長に当時の様子を聞いた。善彦さんには軽度の糖尿病で、ワクチンは予約表が届いたばかりで未接種だった。

「院長は、かかりつけでもない弟のことをよく覚えてくださっていて、〈デルタ株は急変する非常に怖いウイルスだった。優しそうな弟さんだったから、体調が急変しても、迷惑かけまいとして助けを求められなかったんじゃないか〉と。
弟らしいと思いました。まさか自分が死ぬとは思っていなかっただろうし……。先生は何度も〈弟さんを助けられなくて申し訳ない〉と言ってくださって。当時の医療システムのなかでできる精いっぱいをしてくださったと感謝しています」

■「いまも弟と一緒に生きてくれている人が」

善彦さんをひとりで逝かせた無念さは消えないが、「ちゃんと弟を診てくれていた先生がいた」

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