2023年1月22日 06:00
「弟はなぜひとりで死んだのか?」コロナ放置死遺族の真相を探る旅に密着
「タケうっちゃんは、いつもトレードマークの帽子をかぶって、短パンにTシャツ姿でね。仲間が主催するイベントなんかも、よく手伝ってくれたさ。お母さんが亡くなられたときは、『姉ちゃんがひとりになった』って心配していたよ」
友人らが語る善彦さんの思い出話に、目をうるませながら聞き入る高田さん。この日は遅くまで、高田さんに会って元気づけようと、入れ替わり立ち替わり善彦さんの友人が訪れていた。
「父母が、がんで他界したときもつらかったけど、寄り添ってくれる医師がいて、最期はみとることができた。でも、弟は……」
善彦さんと最後に会ったのは、彼が他界する2カ月前。母の四十九日の法要の席だった。独身の高田さんは、天涯孤独に。
「当時、那覇市では患者と丸一日連絡が取れなければ、保健所の職員が自宅訪問することになっていたようです。でも弟の場合、職員が訪問したのは3日目でした。なぜ遅れたのか。なぜ放置されたのか。陽性が判明したあとの弟の様子はどうだったのか。せめて、それを直接聞きたかった。二度と放置死を繰り返さないためにも」
これが、高田さんが来沖した、もうひとつの理由だった。
■弟の死をきっかけに改善されたルール
2022年11月30日。