2023年3月5日 06:00
江角マキコの『ショムニ』は女性の社会進出が進まないからヒットした
■進まない女性の社会進出がヒットの背景に
同作品には“もっと責任ある仕事を任されたい”と考える女性がぶつかる壁も描かれていた。
「たとえば、セクハラ。かつて米国三菱自動車製造が社内セクハラを放置して訴訟を起こされ、その後、原告側に多額の和解金が支払われたのが、’90年代後半でした。当時、まだ日本では“アメリカで大げさな裁判が起きている”という程度の認識。そんな時代に、このドラマはセクハラ問題をいち早く取り入れていたのです」
視聴者のそれぞれが職場の悩みを抱えるなか、ショムニの女性社員が、上から目線で嫌みばかりの上司を蹴散らし、古い体質の会社を改善していくストーリーは、痛快に映った。
「『東京ラブストーリー』(’91年・フジテレビ系)で鈴木保奈美さんが演じた赤名リカは、紺ブレをおしゃれに着こなし活動的に動き回るキャリア女性。当時の女性にとってはあこがれの象徴でした。一方、江角マキコさんが演じた主人公を筆頭にショムニの面々は、当時まだ多かった企業の制服姿。
視聴者にはより身近な存在で、感情移入しやすかったのでしょう。誰もが抱える職場の不満を代弁してくれた江角マキコさんが、このあとずっと“理想の女性上司”アンケートで上位にランキングされていたほどです」