“飼育放棄”の8割超が高齢の飼い主…深刻化するペットの置き去り
かつては治すのが難しいといわれていた猫の伝染性腹膜炎なども、薬で治せるようになりましたから」(佐々木さん、以下同)
家族の一員であるペットが長生きしてくれることは、飼い主にとってはうれしいことに違いない。だが、その一方で、飼い主自身の高齢化も進むなか、今後は人間とペットの間にも“老老介護”が増えてくることも懸念される。
事実、飼い主の高齢化を理由にペットの適正飼育が困難となり、多頭飼育崩壊や飼育放棄といった問題がたくさん起きている。
「センターには1日で多いときに20~30件、相談の電話があります。その8割超が、高齢者(70代以上)の飼い主がペットを飼育できなくなったから保護してほしい、といった内容。飼い主が高齢となり、体力的にペットの散歩や日常ケアができなくなった、あるいは病気療養のため入院し、家に戻れる見込みがない、認知症で介護施設に入所するなど、さまざまな理由があります」
佐々木さんによると、高齢者の飼育放棄の実態は、飼い主自身よりも、その人からペットの世話を引き継ぐことができない家族や親戚からの相談が圧倒的に多いそうだ。これだけでなく、一人暮らしの高齢者が突然亡くなって、家に置き去りにされたペットを保護するために、警察や弁護士から相談を受けることも増えているという。