阿部寛 新事務所の社長に就任していた!ブレイク支えた恩人社長が勇退で継承へ
彼女は知り合いのドラマプロデューサーたちのもとへ日参し、売り込みを続けた。
「阿部に合った役はありませんでしょうか」
そして彼に与えたキッカケが、高倉健さんとの出会いだった。
「’92年、高倉さんの主演ドラマ『チロルの挽歌』(NHK)に阿部さんも出演していますが、役は“工事人A”で、出番はわずか5秒。それでも茂田さんは阿部さんにとって大切な学びの場になると考えたのです」(前出・演劇関係者)
その出会いは、阿部にとって一筋の光明に見えたという。
《エキストラだと思った俺にもきちんと挨拶して下さった高倉さんの人となり、現場での振るまい。もちろん演技も含めて、すごい人だと思った。(中略)役者としてやらなければならないこと、役者の苦悩、こだわり、楽しさ、そして何よりもスターとしてのオーラ、そういうものがまるで厚い雲の間に一筋の光が射すかのように、ハッキリと見えはじめた。その時から何かが吹っ切れた》(『アベちゃんの悲劇』より)
もう一つのキッカケが、つかこうへいさんとの出会いだった。
「つかさんと茂田さんは旧知の仲でした。つかさんが茂田オフィスに電話をしてきたときに、たまたま阿部さんが電話に出たことがあったそうです。