医師会のアンケートで発覚!全国病院3割が「救急患者もう診られない…」
全国の病院に調査を実施した全国保険医団体連合会、事務局主査の岩下洋さんは、こう指摘する。
「医師の長時間労働は医療事故の原因にもなるので“働き方改革”は必要です。
ただ、医師の養成を増やしたり、処遇改善のための十分な対策がなければ、医師が足りなくなり、救急を閉鎖・縮小する病院が増えて患者の命が損なわれる恐れも出てきます」
このような事態になっている背景には、次のような事情がある。
「日本は以前から慢性的な医師不足で、中小規模の病院は、近隣の大学病院等から派遣される“バイト医師”に頼ってきました。ところが、バイトをすると上限時間を超えてしまうので、すでに医師の派遣を見合わせる大学病院が出てきたのです」(岩下さん)
特に、地方は医療崩壊の危機に陥っている。
北海道の北部に位置する士別市立病院(病床数129床)の院長、長島仁さんも、こう苦悩を明かす。
「士別市は、東京23区の2倍弱の面積がありますが、病院は当院だけ。夜勤ができる常勤医も4人しかいないので、休日や夜間救急は、その多くにバイト医師を派遣してもらっていますが、働き方改革により医師が派遣されなくなる恐れがありました」