医師会のアンケートで発覚!全国病院3割が「救急患者もう診られない…」
そうなると、士別市民は20k離れた隣町の病院に行くしかない。
「人口が少ない士別市の場合、夜間救急を利用する患者は、一晩で数人。そこで、仮眠がとれる“宿日直”として労働時間から除外してもらう許可を得ることで、ようやく医師派遣の継続が可能になりました」(長島さん)
ただ、労働基準監督署の許可が下りるまで相当時間がかかった。
「一時は、地域医療を守れなくなる、と気をもみました」(長島さん)
■医師不足の背景には厚労省の“医療費抑制”の狙いが
同様の医療機関は少なくない。報道によると、岩手県立久慈病院は、すでに脳卒中に対応する救急を廃止に。新潟労災病院は、25年度中に廃院になるという。
日本医師会の調査でも、回答を得られた全国4千350の医療機関のうち、約3割が「救急医療体制の縮小・撤退の懸念がある」と回答しているのだ。
さらに厚生労働省が実施した調査では、時間外労働の上限規制を超える医師が多い科として、脳神経外科、外科、産婦人科などが挙がっている。
これらの科では、医師が長時間労働をしていたからこそ診療が成り立っていたのだが、医師を増やさないかぎり、来年4月以降は、診療できる患者が減ることになる。