「幸せだね。ありがとう」冷たくなっていく1歳9カ月の息子の体を抱いて
そうしたら、スタッフのひとりがさりげなくやってきて、私の斜め前の椅子にずっと掛けていてくれました。
何を話すでもなく家族のように寄り添ってくれる。不思議なことに、その“名もないケア”を受けているうちに、夕青がもうすぐ逝ってしまうことを受け入れなくてはならない気持ちになったのかもしれません」
最後の夜、千尋さんは夕青くんに寄り添い、「すごく幸せだね、ありがとう」という言葉をかけることができた。
夕青くんは2019年1月10日の午前8時34分、1歳9カ月で旅立った。
「夕青がホスピスで過ごせたのは5日間でしたが、亡くなった後もドイツの友人や日本の家族が訪れてゆっくりお別れができる部屋が用意されました。
食べることなど忘れていたのに、『食べないと』と私たちにずっと温かいごはんを出してくれて。ホスピスを退去する日も『いつでも戻ってきて』と送り出してくれました」
(取材・文:本荘そのこ)
【後編】「すごくいいと思う!」がんでわが子を失った母たちが出会い“理想のこどもホスピス”作りが始まったへ続く
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