句点に恐怖?「マルハラ」の怪 昭和・平成が愛した 「。」 の系譜ーー
も、あえて句読点を採用した一人だ。いわく、「自身の呼吸や、思想の休止点を示す」ため、と歌集で明かしている。
嚆矢(こうし)はおそらく、与謝野鉄幹だろう。明治29年(1896年)に刊行した詩歌集『東西南北』に登場する。
<花ひとつ、緑の葉より、萌え出でぬ。恋しりそむる、人に見せばや。>
句読点は一首になんと、五つも文節ごとにちりばめられている。旧来の詩歌からアップデートした「新体詩」とも呼ばれる詩型だ。
その旗手だった鉄幹の挑戦心が透ける。
つまり、明治から平成にかけた詩壇において、「。」は斬新で、ナウかったわけである。
◾️ワンパターン化で丸かぶり未遂事件
コピーライティングにおいても、句読点は“正解”だ。政界でもワンパターン化した結果、2年前にキャッチフレーズの「丸かぶり未遂事件」が起きた。
2022年の参議院選挙を見据えて岸田文雄首相が率いる自民党が打ち出したのは、「決断と実行。」。田中角栄政権(1972年)当時の「決断と実行」に「。」を打ち、“いまっぽさ”を演出した。
一方で日本維新の会が用意していたフレーズは「決断。そして実行。」。
「。」まで酷似した「丸かぶり」(党関係者)