「早く免許を返すように…」池袋暴走事故の遺族夫が明かす「飯塚受刑者(93)からの懺悔」
(以下、松永さん)
■飯塚受刑者の反省と後悔を社会に伝えたい
面会の準備を進めてきた松永さんだが、面接では予想外のことが。
「彼は衰えからか『おぉ……』という感じで、質問して3~4分待っても言葉が出てこない状態でした。
それで途中から、『はい』か『いいえ』で答えられる質問に切り替えたんです」
質問はすべて、〈国や自治体でどのような支援があれば、免許を返納していたか〉など、“再発防止”に生かすための内容だ。
松永さんの問いに、おぼつかない様子で「はい」か「いいえ」で答えていた飯塚受刑者が、唯一、自分の言葉で答えた質問があった。それは、「再発防止の観点から、世の中の高齢者やそのご家族に伝えたいことはあるか」という質問だ。
「彼は、『早く免許を返すように伝えていただきたい』と、ご自身の言葉で即答されました。あの事故を起こしてしまった彼だからこそ、世に強く訴えたいことなんだと思います。こうしたメッセージを、しっかり社会に伝えるのが私の役目です」
そう前を向く松永さんだが、こうした心境に至るまでには、つらく苦しい日々が長く続いたという。
「彼の権利だとはいえ、裁判中は、明らかに無理な主張で無罪を争おうとする彼の態度に苦しみました。