戦前のダンディズムはどこへ?イケてない「日本のオジサン」の誕生
今に続く交詢社等、戦前にはある一定の条件を満たした男性だけが入れるクラブがあり、そこで、ウィスキーをたしなみ、トランプやビリヤードに興じていた。
まさにそこには「大人文化」があったのである。白いスーツの流行は、その特定層だけではなく、比較的広い範囲にそうした大人のたしなみを知り、ダンディでありたいという気持ちが広がっていたとみることができる。
時代をさらにさかのぼれば、そもそも日本では、江戸時代にも「粋(いき)」という言葉があり、町人の間では「粋な男」であることが良しとされていた。
武士においても正装としての羽織袴といった、それはそれで日本人男性らしいダンディズムがあったわけだが、公にその必要性があったわけでもない町人の間にも「粋」があったということは、精神としてのダンディズムが広くそこにあったことを意味しているだろう。
また、戦前戦後のダンディズムの代表者の一人といえる白洲次郎が、戦前ある会社の役員だった時に、取引先へ白いスーツで行きそこでトラブルがあり、怒った相手にその白いスーツにインクを投げかけられたという。
やむを得ずそのスーツで帰社すると、なんとそこにテーラーが待っていたそうだ。