戦前のダンディズムはどこへ?イケてない「日本のオジサン」の誕生
そのインクを投げつけた相手先が@流石¥さすが$にこのままではイカンと思い、気をきかしてすぐテーラーに連絡して待たせていたというのである。
つまり日本人男性のダンディズムというのは、単なるファッションにとどまらず、こうした「粋」にもつながる精神にあったのではないだろうか。
では、なぜ戦前までは確かにあったダンディズムが、今になってくたびれた中高年のオジサンになってしまったのか。日本人男性に脈々と受け継がれてきたダンディズムを粉々に崩壊してしまったのが、太平洋戦争の敗戦といえるだろう。
肉親や親しい友を亡くすという辛い状態に多くの日本人が置かれた上に、敗北を喫した戦渦のなかで、日本人としてのプライドも飛び散ってしまった。多くの人たちが茫然自失に陥った。
そのゼロの状態から戦後復興が始まった。日本人の勤勉さが発揮され、ほどなく戦後復興に一丸となって努力し始めた。
戦時中の「滅私報国」が今度は「滅私報公」に変わり、「お国のため」から「会社のため」が始まった。
戦後復興期からスーツはサラリーマンの制服であり、ドブネズミルックで復興から経済成長にまい進ということになった。