“舞台裏”から老舗甘味店へ~東京演劇かつら・水天宮つくし「楽・食・歌舞伎 彌十散歩」其の九
人形町を散歩中の坂東彌十郎さん。不意に、歌舞伎とは切っても切れない大事な場所がここ、人形町にあることを思い出しました。それは「東京演劇かつら株式会社」。歌舞伎のかつらを専門に扱うかつら屋さんです。突然、訪問したにもかかわらず、偶然にも顔なじみの職人さんが、彌十郎さんの役の頭(かつら)を仕上げている真っ最中でした。
思いがけず歌舞伎の“舞台裏”を覗き見たあと、彌十郎さんは水天宮方面に足を伸ばしました。その先に彌十郎さんを待っていたのは江戸時代のレシピを再現した「人形町風鈴」なる魅惑の食べ物でした。
【江戸甘味處水天宮つくし】
創業140年の老舗甘味店。
平成13年、菩提寺の蔵から見つかったのが、現在の店主・鷺谷眞觀さんから遡ること5代前、「初代鷺谷米蔵」の秘伝帖(レシピ集)。明治34年の文献の中にしたためられていたのが「西洋風茶碗蒸し菓子」なる菓子のレシピだった。これを再現して作られたのが「人形町風鈴(プリンとルビをふってください)」。現在は持ち帰りのみ、4個入り1080円(税込)。今回、彌十郎さんは特別に店頭で「人形町風鈴餡蜜」