年収1千200万でもホームレスに…“介護離職”のリアル
父の逝去後は、母の介護も始まり、再就職した会社も業績が不安定で、賃金も未払いが続いたという。母も亡くなり、最低限の葬式を出したところで、預貯金が底をついた。家賃を2カ月滞納したために、家主に追い出され、公園で寝泊まりするように……。
「その後、支援団体に保護されました。3年ほど生活保護を受けていましたが、団体職員として採用されたことで自立できました。いまは電話相談員として、生活困窮者の悩みを伺っていますが、親の介護で疲れ切っている人からの相談は年々増えています。電話をかけてくる人たちのほとんどが崖っぷちの状態です」(高野さん)
親のために離職したものの、その後、再就職がうまくいかず、困窮状態に……。介護離職が介護破産の入口になっているという構造も見えるが、離職前に相談している人は多くはないという。
5月17日に『東京新聞』が、介護離職にまつわる調査結果を報じている。調査は、みずほ情報総研が実施したもので、介護を理由に正社員から離職した人たちに「離職直前に介護と仕事の両立について誰かに相談しましたか」