「生業を返せ!」最大の原発訴訟、原告たちの訴え(前編)
すると、「ストロンチウムを測るには、高額な測定器が必用で、測定に時間がかかる」という返答が。
「つまり、測らないのは安全だからじゃない。経済的に見合わないから。もし、将来的に健康被害が出ても、あきらめろということなんです」
これでは、客が不安を抱いても仕方ない。
「東電に営業損害の賠償請求をしましたが、事故から1年以上経っても、一向に支払われませんでした。漁業組合の関係者たちは、『もう首をつるしかねぇな』というところまで追い込まれていったんです」
中島さんたちは13年3月、仲間とともに訴訟に踏み切る。これまでに中島さんが東電から受け取ったのは、わずか12万円の精神的慰謝料のみだった。
これまでの裁判のなかでは、国や東電の無責任ぶりを問うてきた。
「国や東電は、大きな津波が来ることを予見していたにもかかわらず、安全対策をとらなかった。『安全対策工事をするには、1年で1兆円の利益を産む原発を半年間止めないといけない。株主を説得できない』などと発言している内部資料も見つかっています。