左とん平さん 波瀾万丈人生支えた森繁久彌さんの”粋な言葉”
「こういう時期だからこそ、相手に気持ちが負けていないことを伝えなきゃいけない。相手に“そんなに気前よく使って大丈夫なの?”って思わせなきゃ」
謹慎から明けた後も左さんは、森繁さんの手を借りることとなる。森繁さんが、再び舞台に立つチャンスをくれたのだ。それが、左さんの代表作となる「佐渡島他吉の生涯」だった。同作では10分以上も左さんが1人でしゃべり続けるシーンがあり、その演技に観客は魅了。左さんも「役者としてのコツをつかんだ」と思った。そして森繁さんは言った。
「お前が、あんなに上手な役者だとは思わなかったよ」
2007年に行われた左さんの芸能生活50周年を祝う会に、森繁さんは役者としての左さんを賞賛する声を寄せている。
「あたふたと、あっと驚く50年。お前さんの当たり役の『佐渡島他吉の生涯』の橘玉堂は、本当にうまかったなぁ……。玉堂のセリフじゃないが“人生の浮き沈み”があったが……。お前さんはかわいい洒落たやつだ。