ヘテロクロミアの少年をいじめから救った“おそろい”の猫
ムーンがいたミネソタ州の動物保護施設は、譲渡を希望する人に直接の訪問を義務づけていた。ハンフリーズ家と保護施設を車で往復するには22時間もかかってしまう。ガソリン代やホテル代の出費は、ハンフリーズ家には痛手だった。そこで家族の友人が立ち上がり、寄付金をかき集めてくれた。旅費を調達できたクリスティーナとマッデンは急いでミネソタへ向かった。もしかしたら、もう貰い手が付いてしまったかもしれない……マッデンは気が気ではなかった。
長時間のドライブののち、マッデンはムーンと対面した。その時のことをクリスティーナはこう振り返る。
「ムーンはマッデンの方へまっすぐ歩いてきました。2人はすぐにお互いが好きになったようで、私たちはムーンを家族として迎え、連れ帰りました」
ムーンと暮らし始めたマッデンに起こった変化には目を見張るものがあった。
「ムーンはマッデンに、いじめに立ち向かう力を与えてくれました。マッデンの表情がこれまでとは見違えるように光り輝くようになったんです。自分がどれほど特別な存在であるかを、ムーンが気づかせてくれたみたい」