2024年2月19日 11:30
『シュルレアリスムと日本』板橋区立美術館で 20世紀最大の美術運動の日本における展開をたどる
1924年、フランスの詩人アンドレ・ブルトンの「シュルレアリスム宣言」によって創始され、20世紀の芸術、思想、文化に広範な影響を及ぼしたシュルレアリスム運動。宣言の発表から100年を記念して、日本のシュルレアリスムの展開に焦点をあてた展覧会が、3月2 日(土)から4月14日(日)まで、板橋区立美術館で開催される。
古賀春江や東郷青児らがシュルレアリスムを意識した作品を描き始め、またフランス滞在経験のある福沢一郎がエルンストのコラージュに着想を得た絵画を発表して、多くの追随者を生んだ。当初はエルンストやデ・キリコなどの作品図版とともに日本に紹介されたシュルレアリスムだが、1930年代に入ると、『巴里新興美術展』や『海外超現実主義作品展』といった展覧会を通じて実際の作品が日本各地を巡回し、その存在を広めていった。
こうして日本に浸透しつつあったシュルレアリスムだが、1937年に日中戦争が勃発すると、危険思想と見なされ、福沢らが検挙される事態に発展。また、独自の絵画を切り拓いた靉光や浅原清隆など、応召し、外地で命を落とした者もいる。だが、戦後の困難な時代には、人間や社会と対峙するひとつのかたちとしてシュルレアリスムが受け継がれていった。