2021年5月6日 18:00
知られざる木彫家・藤戸竹喜の全貌を紹介する、東京では初となる展覧会開催
1999年、個人蔵
北海道美幌町生まれの熊彫り作家・藤戸竹喜(ふじとたけき/1934-2018)の全貌を紹介する、東京では初めてとなる展覧会が、7月17日(土)より東京ステーションギャラリーにて開催される。
共にアイヌ民族であった両親のもとに生まれ、12歳のときに木彫り熊の職人だった父に弟子入りした藤戸は、15歳の時には阿寒湖畔の土産物屋の店先で職人として熊彫りの実演を始める。30歳の時に阿寒湖畔に移り住み、以降数多くの木彫作品を生み出した。
藤戸は制作にあたって一切デッサンすることがなく、丸太に簡単な目印を入れるだけで、あとは一気に形を彫り出していた。繰り返し、繰り返し彫ることで、熊の形態を、熊を取り巻く空間を理解していったという。
34歳の時に依頼され、半年かけて観音立像を制作したことが制作の大きな転機となり、その後、人物、狼や鹿、海洋生物など、熊以外のさまざまなモチーフにも命を吹き込んでいった。特にアイヌ民族の先人たちの姿を等身大で彫った作品群は、精緻な写実的描写のなかに威厳に満ちた存在感が表現されている。
80歳を超えてなお、旺盛な制作活動を続け、北海道文化賞、文化庁地域文化功労者表彰、 北海道功労賞などを受賞。