2021年6月11日 14:00
高橋悠也×崎山つばさ、『TXT vol.2「ID」』は演者も観客も自分と向き合うことになる舞台
という気持ちもありつつ「こういう自分にさせてもらっている」という感覚もあるのかなと。
やっぱりひとりじゃ生きていけないので、しっかりと自分というものを持ちつつも、でも誰かに支えられているという気持ちも常に持つことが大切なのかな。人によってアイデンティティが作られるということもあるんじゃないかなと思います。
高橋こういう物語を作る作業って、物語を通じて自分の中の哲学とか美学とか考え方みたいなものを提示することをやりがちなんですけど、最近僕の中で心掛けていることは、答えを作中で明言しないこと。もちろん、テーマを基に作劇はしていくんですけど、観た人が答えを探すようにしていきたいんです。
それは僕が作家のアイデンティティやエゴを、作品を通して表現することが一番嫌いというのもあって(笑)。だからアイデンティティというものは、僕の中であってないようなもの。それは常に不確かで曖昧で答えのないもので、毎回探りながら演じることのできる作品を作り続けていくことに尽きるのかなと。
アイデンティティがひとつ決まってしまうと、それ以上作る必要がなくなってしまうんじゃないかという怖さもあるので、ないに等しいですし、そうでありたいなと思っています。