「幻の作品」が再起動する。今に寄り添う“触れ合わない“ラブストーリー、『アーリントン〔ラブ・ストーリー〕』白井晃×南沢奈央インタビュー
良くも悪くも『この戯曲はそういうことだったのか』と改めて捉え直す感覚がありました。今の状況の中で観ていただくことで、お客様にも響くものがあるんじゃないかなと思います」(南沢)
一度は「幻の作品」になりかけた『アーリントン〔ラブ・ストーリー〕』が、驚くほどいまの世の中に寄り添った作品として再起動する。「つい先日、自粛明け初の舞台(『ハルシオン・デイズ2020』)に立ちましたが、今までに味わったことのない気持ちでした。お客様の前に立って、直接演じられるこの舞台という場所は絶対になくなってはいけないと思っています。思い入れのある『アーリントン』が再びお客様に届けられるチャンスを得られたのは本当に幸せです」(南沢)
「とにかく、劇場を開き続けること、演劇を上演し続けることのために戦った1年でした。表現衝動は人間が生きている限り止められないと思うので、今できることを精一杯やって前に進んでいきたいと思います」(白井)
今作は白井にとって、KAAT神奈川芸術劇場の芸術監督として演出を手がける最後の作品となる。最後に、2021年4月に芸術監督のバトンを渡すこととなる長塚圭史へのメッセージを語ってもらった。