2023年6月30日 18:00
葵わかな×木下晴香「私たちの経年変化を感じてもらえたら」ミュージカル『アナスタシア』待望の再演に寄せて
演じるからこそ人前に出ていける感覚があって。メイクして衣装を身にまとうことでだんだんと違う自分になって、役としてステージに立っているから怖くない、みたいな。
葵そうなんだ。
木下うん。でもコロナ禍の3年を通じて、やっぱり演じるのってどこまでも「自分でしかない」ってことを痛感しました。自分自身を見せることが次第に怖くなくなっていっている……というんですかね。やっぱり自分を介して届けないと、わかなちゃんみたいにお客さんの心を打つ芝居にならないんだなって。
葵(恐縮して首を振りながら)いやいやいやいや!(苦笑)
木下……なんだか取ってつけたようになってしまいましたけど(笑)、芯を食った芝居にならない気がしたんです。
他者をコーティングしながら演じていたのが、だんだんと自分を通せるようになったのが私の変化かな、と感じています。「感情はお腹から」という言葉が腑に落ちるようになってきました。
葵そっか、すごいね! 私はポジティブになったことが変化のひとつかもしれません。コロナ禍が影響している気がするんですが、自分ひとりの力でどうにもできないことってあるじゃないですか。そういう状況に対して20代前半ではまっすぐ向き合って躍起になっていたんですけど、現在ならもっと柔軟でいられる。