「ふっかーつ!」KANA-BOON 再始動ワンマン@渋谷WWW X【ライブレポート】
と気合を入れ直すと、鳴らされたのは「さくらのうた」。切ない情景が、谷口が経験してきた数々の別れとオーバーラップして胸を締め付ける。「スタンドバイミー」もそうだ。〈僕はやれる君はやれる/飛び出せ世界〉。こうしてあらゆる曲がそのときのバンドのメッセージになるのは、谷口がそれだけそのときどきの自分に正直に曲を作ってきたからだろう。苦しいときにも、悲しいときにも、うれしいときや楽しいときにも、きっと彼は彼自身の曲たちに支えられ、救われてきたに違いないと思う。この日もKANA-BOONの曲たちは、オーディエンスを祝福し、バンドを励まし、谷口自身の背中をぐいぐいと押していた。
ライブの終盤、谷口は今回のメンバー脱退に至った心境を告白し始めた。
4人で始めたKANA-BOONがずっと続いていくことを願っていたこと。でもその夢は残念ながら叶わなかったこと。いつの間にかオリジナルメンバーは谷口ただひとりになってしまったが、それでも「KANA-BOON」の名前を背負う意味は、KANA-BOONがすでに「自分だけのものではない」からだ。メンバー、ファン、スタッフ、たくさんの人の思いを背負って進んでいく覚悟。