2021年11月11日 18:00
スティーブ・ジョブズも愛した「旅情詩人」の足跡をたどる 『川瀬巴水 旅と郷愁の風景』SOMPO美術館にて開催中
1918年木版、紙 渡邊木版美術画舗
デビュー作の「塩原三部作」は、巴水ゆかりの土地である塩原を舞台にしたもの。巴水はのこぎりの歯のようなギザギザした輪郭線や、抑揚をつけた線を作品に用いている。「塩原三部作」の一点、《塩原おかね路》では、岩肌などにその手法が用いられている。これらの表現は浮世絵ではタブーとされていたもの。巴水はデビューの時から挑戦を試みていたのだ。
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川瀬巴水《塩原おかね路》1918年木版、紙 渡邊木版美術画舗
デビューが好評だった巴水は全国各地を旅し、その風景を描きためた。巴水が各地で描いた写生は、その後のヒットする連作『旅みやげ』へと結実していく。
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川瀬巴水の写生帖第9号 朝日嶽と八ヶ嶽 1924年 大田区立郷土博物館
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川瀬巴水 東京十二題 左《五月雨ふる山王》 右《こま形河岸》1919年木版、紙 渡邊木版美術画舗
しかし、1923年に関東大震災が巴水を襲う。自宅が全焼し、全国各地を描いた写生帖も消失。また、ときには「歌川広重の模倣だ」とそしりを受けることもあった。
「第2章「旅情詩人」巴水、名声の確立とスランプ」では、逆境をはねのけて制作した、代表作でもある《馬込の月》などを紹介。