スティーブ・ジョブズも愛した「旅情詩人」の足跡をたどる 『川瀬巴水 旅と郷愁の風景』SOMPO美術館にて開催中
ひたむきに制作にはげむ巴水を追う
川瀬巴水《芝増上寺》 1925年 木版、紙 渡邊木版美術画舗
川瀬巴水「旅みやげ第三集」 左《福岡西公園》 右《周防錦帯橋》1928年 木版、紙 渡邊木版美術画舗
また、川瀬巴水の充実した資料を収蔵する大田区立郷土博物館の版木をスケッチ、作品とあわせて展示。巴水の絵の制作プロセスに思いを馳せることができる。
奥《池上市之倉(夕陽)》版木、手前 川瀬巴水 写生帖22号 市倉
川瀬巴水 《池上市之倉(夕陽)》1928年 木版、紙 渡邊木版美術画舗
人気作家でありながらも、自身の作品の代わり映えのなさに葛藤を抱えていた巴水は、1939年、画家仲間に誘われて朝鮮旅行へ赴く。それまで見たことのなかった広大な風景や、見慣れぬ文化に魅了された巴水は、「朝鮮八景」「続朝鮮風景」シリーズを発表。大胆な構図と精微な描写が組み合わさったさらなる新境地を開拓した。
展示風景より川瀬巴水「朝鮮八景」1939年木版、紙 渡邊木版美術画舗
展示風景より川瀬巴水「朝鮮八景」1939年木版、紙 渡邊木版美術画舗
そして戦後、進駐軍関係者たちが次々と木版画を買い求めたことから、戦前にも劣らない空前の版画ブームが訪れる。