くらし情報『舞台人・加藤健一、渾身の一人芝居であった ー演劇ジャーナリスト・大島幸久が観た『スカラムーシュ・ジョーンズあるいは七つの白い仮面』』

2022年9月7日 18:00

舞台人・加藤健一、渾身の一人芝居であった ー演劇ジャーナリスト・大島幸久が観た『スカラムーシュ・ジョーンズあるいは七つの白い仮面』

円形の舞台装置を自分で半回転させたり、墓穴掘りやパントマイムも演じる。それは長い舞台経験の中で培ってきたカトケンの“七色の芸”と言えるだろう。

舞台人・加藤健一、渾身の一人芝居であった ー演劇ジャーナリスト・大島幸久が観た『スカラムーシュ・ジョーンズあるいは七つの白い仮面』


父親の母国であるロンドンに着いたスカラムーシュは語りを止める。孤独の世界を生きてきた半生は、辛く、また喜怒哀楽を体験し尽くし、胸に秘めた道化の精神。冒頭から灯し続けたロウソクの灯を吹き消すと、死後の世界だろうか。暗転、そしてブランコに乗った道化が空中から降りてくる。なんてステキなエピローグなのだろう。


舞台人・加藤健一、渾身の一人芝居であった ー演劇ジャーナリスト・大島幸久が観た『スカラムーシュ・ジョーンズあるいは七つの白い仮面』


この主人公のみならず、七つとは言わないが、人はだれしも二つや三つの仮面を生きているかも知れない―と思わせる物語世界であった。そして、それは加藤健一という舞台人の半生と重なるようであった。(8月18日所見)

撮影:石川純

<公演情報>
加藤健一事務所『スカラームーシュ・ジョーンズ または七つの白い仮面』

2022年8月18日(木)~2022年8月28日(日)
会場:本多劇場

プロフィール
大島幸久(おおしま・ゆきひさ)

東京都生まれ。団塊の世代。演劇ジャーナリスト。スポーツ報知で演劇を長く取材。現代演劇、新劇、宝塚歌劇、ミュージカル、歌舞伎、日本舞踊。

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