BUCK-TICKが照らした“生きるための光” 全国ツアー『異空-IZORA-』東京ガーデンシアター公演オフィシャルレポート
ヒズミって言います」の一言だった初日公演から、その表情や仕草とともに段階を経て進化してきた。自分の生を呪うかのように虚無感漂う表情で歌う「ヒズミ」の行く末を、誰もが祈らずにはいられなかった。それほどまでに真に迫るパフォーマンスだったと言える。
アンコールラストは「名も無きわたし」。櫻井が肩にかけた着物の裾を大きくひるがえすと、スクリーン一面に色とりどりの花びらが舞い散った。会場内の全ての人の背中を優しく押してくれるような、優しく包み込んでくれるような、力強くて温かいエンディングとなった。
BUCK-TICKが音楽を鳴らし続ける限り、生きていたい。このツアーを体感した人たちの多くが、帰り道にこんなことを思ったのではないだろうか。
大げさではなく、そんなふうに思う。「暗いアルバム」だとメンバーが評していたアルバム『異空 -IZORA-』は、ツアーを通して生きる光となり、糧となった。そして9月17日(日)・18日(月・祝)、彼らの地元・群馬音楽センターで開催される『BUCK-TICK TOUR 2023 異空-IZORA- FINALO』でデビュー35周年を締めくくり、新しいタームへと向かうBUCK-TICKの未来を大いに期待している。