くらし情報『松原俊太郎が書く先鋭的な劇世界に老舗・文学座が挑む』

松原俊太郎が書く先鋭的な劇世界に老舗・文学座が挑む

その発語に必要な身体はどのようなものか」という問いが頭をもたげたとも。

今作『メモリアル』の登場人物は、花嫁、独身者、娘、入国者、取次者、相続人の6人と、ほかたくさん。それぞれの行く末を抱えた6人が、交叉点の真ん中で衝突する。川のように流れていた時間が中断し、人々の足は止まり、そもそも不穏だった空気はさらに不穏になり……。

「地点の三浦基さんのように、戯曲を自身の確固たる世界観の中に引き込んで、咀嚼し再構築することは私にはできません」と今井。だが、「6人の俳優たちとの、松原戯曲をありのまま語る“動機”と“身体”を探る作業を通して、観客の皆さんと戯曲との橋渡し役を担えれば」。今井が松原戯曲に立ち向かい、紡ぐ舞台に、“これからの演劇”の誕生を期待したい。

文:伊藤由紀子
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