くらし情報『映画賞レースにすべり込み! 杉咲花主演『市子』壮絶な宿命に抗う生命欲──【おとなの映画ガイド】』

2023年12月4日 12:00

映画賞レースにすべり込み! 杉咲花主演『市子』壮絶な宿命に抗う生命欲──【おとなの映画ガイド】

それが戸田がこのシナリオを書くモチーフだったという。

映画賞レースにすべり込み! 杉咲花主演『市子』壮絶な宿命に抗う生命欲──【おとなの映画ガイド】


そして書かれたのが1987年に生をうけた「川辺市子」の半生。あくまでも舞台用の脚本だったが、映画化するにあたって、黒澤明監督の『羅生門』のように、各登場人物の証言によって主人公の人物像が浮かび上がるという手法を用いた。

それが見事に成功したと言える。観客は、次々出てくる意外な証言に驚きながら、最後まで、ミステリーを読むように彼女の謎を追い続けることになる。


映画賞レースにすべり込み! 杉咲花主演『市子』壮絶な宿命に抗う生命欲──【おとなの映画ガイド】


杉咲花は、高校生から28歳までの市子を演じている。あどけなさもあり、魔性を秘めた感じもある。人を引きつける魅力を持ちながら、目立とうとすることは避ける。複雑な人間像だ。

『湯を沸かすほどの熱い愛』の宮沢りえの娘役で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。東京生まれだが、主演したNHKの朝ドラ『おちょやん』では、関西弁での演技経験がある。

映画賞レースにすべり込み! 杉咲花主演『市子』壮絶な宿命に抗う生命欲──【おとなの映画ガイド】


彼女の演技について戸田監督は「凄かったの一言でもありますが、誠実で愛情深く、丁寧に役を心で感じ取る魅力的な方でした」と語っているが、同感だ。

失踪の日、着の身着のまま、“つっかけ”を履いて、ここでないどこかへ、走って逃げて行く市子のせつない後ろ姿が、とても印象的だった。

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