樫本大進インタビュー「ピアニストがしっかり主張してきてくれる刺激こそが、良い音楽を生む」
ラファウが一緒にチャレンジしようといってくれたので、ぜひ受けたいという気持ちが高まりました」
(C)Junichiro Matsuo
一方の後半には「基本を超えたところにある雰囲気や匂い、遊びが大切になるフランス系レパートリー」が並ぶ。なかでもフランクのヴァイオリン・ソナタは、ブレハッチからぜひにと提案され、最初に決まったという。
「ヨーロッパ的な情熱がまっすぐに出て、フランクらしい魅力が詰まっている作品です。誰もが知る大きな存在ですが、ラファウからどんな新たなインスピレーションを得て演奏することになるのか、期待しています」
武満の「悲歌」を日本で披露するのは、樫本が初めてのレコーディングを行った25年前以来と、久しぶりとなる。
「僕が日本にいたのは幼稚園までで、以後はずっと海外なので、武満の生きた昭和の日本について、実際の思い出はほとんどないのです。最近流行っている“昭和レトロ”、好きなんですけれどね!それもあって自分は日本のことがわかっていないと思うこともあるのですが、でもやはり、歳を重ねてますます“日本はふるさとだ”という感覚が強くなってきました。武満の音楽は、フランスに影響を受けた部分と和の雰囲気が融合していて、僕にとってとても心地よいのです。