BUCK-TICK、故郷・群馬でデビュー35周年を締めくくり『異空-IZORA- FINALO』レポート
二度のお出迎えに、自ずとテンションが上がる。1988年の『SEVENTH HEAVEN TOUR』以来、彼らが何度も公演を重ねてきた群馬音楽センターは1961年開館だから、ヤガミ・トール(Ds)の一つ先輩になる。そのモダンな造りは、『異空 -IZORA-』の世界によく合いそうだ。
不穏な世界情勢や多様化する社会の裏にある歪み、そしてそこに生きる人々の営みや感情を映したアルバム『異空 -IZORA-』のストーリーは、『BUCK-TICK TOUR 2023 異空-IZORA-』で回を重ねるごとに深化し、最終日の東京ガーデンシアターでの圧倒的なパフォーマンスにより、一度完結を迎えていたと思う。この『BUCK-TICK TOUR 2023 異空-IZORA- FINALO』では、アルバム収録曲の置き位置はそのままに、既存曲を変更したり加えたりすることで、それまでとはまた違う手触りと心象を残した。SEの「QUANTUM I」が流れた後、ステージ上手から今井寿(G)を先頭に、ヤガミ、樋口豊(B)、星野英彦(G)と順に登場すると、大きな歓声と拍手があがった。4人が定位置につき楽器を手にする間、観客は逸る気持ちを抑えられない様子で、拍手は手拍子へと変わっていた。