BUCK-TICK、故郷・群馬でデビュー35周年を締めくくり『異空-IZORA- FINALO』レポート
その音が最高潮に達した頃、センターに櫻井敦司(Vo)が姿を見せた。太腿を露にした黒い衣装に、黒いハットと黒いマラボー姿。一曲目「SCARECROW」の背景に映る案山子のシルエットとシンクロしているようでもあるし、歌詞に出てくる案山子を襲う鴉のようでもある。楽器陣の4人が白い衣装で揃えてきたので、その姿はとりわけ異質に見えた。行き場のない現実に膨らんでいく切迫感を、サビからテンポアップしてギリギリのところまで追い込んでいく。緊張感そのままにインダストリアルナンバー「ワルキューレの騎行」を響かせた後、“ガッガッガガッ”と今井が鳴らしたピックスクラッチを合図に「ICONOCLASM」へ。ツアーでは入っていなかったライヴ定番曲に歓声があがった。さらに中盤の“Five for Japanese Babies”のところを、櫻井が“Five for Takasaki Babies”と歌詞を変えて歌ったものだから、会場の熱もヒートアップ。
続く「残骸」もこのツアーでは初出。死と隣り合わせで在りながら、パワフルに命を燃やすこのロックチューンは、『異空 -IZORA-』の世界観に通ずるものがあると感じた。
櫻井敦司
トーチの炎が揺らめく中、エキゾチックなパーカッションの音で空気を一変したのは「愛のハレム」。