先が読みにくい状況の中で、コンサートのあり方はもとより、聴く側のスタンスも微妙に変化しているのだろう。それに伴い公演チラシを撒きまくるといった重厚長大なプロモーションが影を潜め、短期的かつ有効なWEBプロモーションを模索する時代に突入したようだ。
一方、昨年盛んに行われた無観客での「ライブ・ストリーミング(配信)」は、コンサート会場の入場者数緩和に伴い、“有観客公演と配信のハイブリッド”という新たなスタイルに変化しつつある。これは演奏者の収入増につながるとともに、ファン層拡大の有効な手段となるだろう。
国際的な話題としては、1年延期された「ショパン国際ピアノコンクール」に注目が集まる。11月のショパンの命日を軸に5年に一度ポーランドのワルシャワを舞台に開催されてきた同コンクールは、最高の人気と知名度を誇る若手ピアニストの登竜門だ。本来ならば昨年の秋に誕生するはずであった新たなスターの姿を、今年こそは拝めることを、クラシック界全体が期待している。明るい話題も届いている。
昨年、新型コロナ感染拡大の影響を最初に受けた大型イベントとして記憶に残る「東京・春・音楽祭」2021年の開催概要が発表されたのだ(2021年3月19日〜4月23日)。