『多重露光』開幕!稲垣吾郎が“呪い”に苦しむ40代を好演
稲垣吾郎主演の舞台『多重露光』が10月6日(金)、日本青年館ホールにて初日を迎えた。初演の前に報道陣向けに舞台挨拶および、公開舞台稽古が行われた。
小説家としても活躍する横山拓也のオリジナル脚本で、ミュージカル『ドリームガールズ』、音楽劇『海王星』、など近年、多彩な作品を手がけている眞鍋卓嗣が演出を務める本作。
稲垣が演じる主人公の純九郎(すみくろう)は町の小さな写真館の2代目の館主。戦場カメラマンとしてベトナムに赴いた父(相島一之)とは一度も会ったことがなく、亡くなった母親(石橋けい)は夫の存在を誇りに思い、息子の純九郎に対し常に、町の写真屋で終わるのではなく「生涯をかけて、撮りたいものを見つけなさい」と言い続けてきた。
そんな過剰な期待は、ある種の“呪い”となって純九郎を縛り付けており、子どもの頃からごく一般的な幸せな家庭を経験できなかったこともあってか、純九郎は偏屈な“こじらせ男”の40代を迎えている。貴重な収入源であるはずの、近所の学校から請け負った遠足などの行事の写真さえも真面目に取り組まずに、生徒ではなく風景ばかりを撮るなど、プロとして問題のある行動も多く、なかなか観客の共感や理解を得にくい主人公だが、そんな小難しいタイプの男を稲垣がリアルに好演している。