世界最大級の自主映画コンペ“PFFアワード”の魅力とは? 映画祭ディレクターが語る
今年はコロナ渦で審査も例年通りとはいかなかったが、広い会議場を確保するなどして二次審査はセレクションメンバーが例年通り、顔を合わせて徹底的に話し合って入選作が決定した。
「PFFはどのような作品を求めていますというお題は何もないですし、時間をふくめ規制は何もないわけですから、本当に純粋に何かをぶつけてくる人が勝つ映画祭だと思います。一番大切なのは“よくわからないけど、何かがある”ってこと(笑)。それを誰かが発見して、かたちあるものにしていく。それがPFFなんだと思います」
だからこそ、PFFは今年も東京・京橋の国立映画アーカイブで実際に観客が集まって、同じスクリーンで作品に向き合うことにこだわった。単に映画を集めてオンラインで鑑賞することはできる。人気作品を集めて上映することもできる。でもそれを“映画祭”と呼んでいいのだろうか?
「同じものを同じ場所で一緒に観る。
それをつくった人と語ることができる。その作品を素晴らしいと思った人がいた時に、作り手と観客がお互いの存在を感じる。つまり“世の中、そんなに捨てたもんじゃない”っていうか、自分は“ひとりじゃない”っていう経験を積み重ねていかないと人間は弱くなっていくので、映画祭は生きる力を与える場所だと思っているんです。