2022年1月20日 00:00
【ライブレポート】宇多田ヒカル、最新作の数々をバンドセッションで初披露「奥の方の特別な空間を初めて共有できた」
「誰にも言わない」のメロディの波をたゆたうような歌声とフェイクも見事だった。
どの曲からも彼女とバンドのメンバーの音楽の波動のようなものを感じた。歌声と楽器の音色の混ざり合いの美しさも堪能した。メンバーの演奏する気配や空気を的確にとらえた映像も見事だ。
『初恋』収録曲「あなた」でピアノを弾いていたReuben Jamesが加わった「PINK BLOOD」「Face My Fears (English Version)」などでもセッションのスリルを味わった。『Exodus』収録曲の「Hotel Lobby」では遊び心あふれる歌とリズミカルな演奏が楽しかった。
“シンガー・宇多田ヒカル”の素晴らしさ
伝承音楽的な雰囲気のあるアコースティックギターで始まった「Beautiful World (Da Capo Version)」は生の歌声とエディットされたハーモニーとが絶妙に融合。デジタルもアナログも包含していく深みと広がりのある世界観は人間の内面の小宇宙とシンクロするかのようだ。
彼女の歌い終えた瞬間を捉えた滲んだ映像も見事だった。鮮明でないからこそ、焦点が合っていないからこそ、描写できるものがある。