2023年8月10日 12:00
“手”で触れられるような映画に。グレタ・ガーウィグ監督が語る映画『バービー』
本作では繰り返し“手”に関するモチーフが登場する。子どもたちはバービー人形を手を動かして遊び、着せ替え、理想のスタイルを探っていく。バービーは“箱の中に入っている状態”ではダメなのだ。
「そのことはすごく考えていました。人形というのは手で触れて遊ばなければ、私たちの考える“人形”ではないと思いますし、その感覚がこの映画をつくる上での最大のガイドになりました。だからこそこの映画ではセットを建て、物理的に触れるものを揃え、“手で触れられるような映画”にしたかったのです。
それから劇中に何度も“手”に関するモチーフが登場するのは、ルース・ハンドラーがバービーを生み出した瞬間を映画の中で表現したかったからです。触れることで命が吹き込まれる。
旧約聖書で神がアダムに生命を吹き込むために手をのばす場面のように、手から命が吹き込まれるイメージがずっとありました」
本作では、人間の世界に向かったバービーが幸福なバービーランドで暮らしていた時からは想像もしなかったトラブルに巻き込まれ、自分自身の存在について迷い、試行錯誤を繰り返す。その光景は、子どもたちが手で玩具に触れながら、ああでもない、こうでもないと試行錯誤する姿と重なる。