2024年1月5日 18:00
京都、福岡を経てついに開幕。 『シラの恋文』東京公演で見せる、 草彅剛の成熟
この作品は、全体的にちょっとふわふわとしていて掴みどころがない感じがするんです。セリフも、これはどういう意味なのか、前のセリフからつながっているのかいないのかよくわからなかったり。そのときどきでそのセリフから受ける感情が違ったりもするんです。志羅だけじゃなくてほかの人物も、一つひとつが単体として分かれているような、ちょっと浮遊感あるセリフで。でも、最後まで全部通してみたら、ぐるぐる丸い円を描くような、まとまりのある舞台になっている感じがするんです。輪廻転生が出てくる話ですけど、それこそ作品自体が輪廻転生しているような、不思議な魅力があって。僕自身も志羅という役を通してその不思議さを楽しんでいます。
『シラの恋文』より(撮影:宮川舞子)
──そんな不思議な戯曲を書かれた北村想さんの「作家本読み」が、稽古の最初にあったそうですね。
作家自身が読むのを聞いた印象や、上演を重ねて新たに戯曲について感じていることがあれば教えてください。
想さん自身に読んでいただくと、やっぱり自分で読むよりわかりやすく浸透してきた感じがあって、とてもありがたかったです。想さんはもう天才ですよね。輪廻転生というすごく大きな宇宙的な話を具現化して、セリフに落とし込んでいるんですから。