くらし情報『懸命に生きるすべての人々へ贈る鎮魂劇 ―『ガラスの動物園』『消えなさいローラ』オフィシャルレポート』

2023年11月10日 13:10

懸命に生きるすべての人々へ贈る鎮魂劇 ―『ガラスの動物園』『消えなさいローラ』オフィシャルレポート

妥協を許さない渡辺は、いつにも増してのこだわりの演出でその期待に応える。さまざまな趣向が細部にまで行き届き、また何層にも重ねられていて、渡辺がこれまでの人生で得た計り知れない知識・知恵・経験を余すところなく盛り込んでいるのがわかる。渡辺が16歳の時に「本当に笑えて、本当に泣けた」と感激した長岡輝子演出『ガラスの動物園』(1971年、文学座)、そして作家のテネシー・ウィリアムズと別役実への心からの敬意もあちらこちらに感じられる。その演出によって、1971年に16歳の少女が味わった深い感動を追体験することができた。

懸命に生きるすべての人々へ贈る鎮魂劇 ―『ガラスの動物園』『消えなさいローラ』オフィシャルレポート

『ガラスの動物園』左より)渡辺えり、吉岡里帆、尾上松也
『ガラスの動物園』と『消えなさいローラ』をつづけて観劇すると、一度の観劇では味わい尽くせないほど見どころが数多にある。誰かと話し合いたいくらいだ。母親アマンダと息子トムの笑ってしまうような親子の言い争い、アマンダと娘ローラの優しい時間、ジム登場の楽しいドタバタ、『消えなさいローラ』の3バージョンの演出や演技の違い……など、挙げ始めたら切がない。ここでは特に深く印象に残ったものをいくつか挙げてみる。
まっさらな気持ちで観劇されたい方はご観劇後に、少しでも見逃したくない方はご観劇前の参考に。

関連記事
新着くらしまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.