2024年3月6日 18:00
音楽の自然な波 河村尚子がウィーン響とブラームス協奏曲
深くしなやかな音とこまやかな情感で聴き手を魅了する河村尚子。来日するオメル・メイール・ヴェルバー指揮ウィーン交響楽団とブラームスのピアノ協奏曲第1番を弾く。
「ブラームスの協奏曲はスケールが大きく、交響曲的な構造。私はシンフォニーも大好きなので、第1番にも第2番にもすごく惹かれます。ピアノ協奏曲第1番には、若かりしブラームスの情熱と勢い、激しさ、悩みと愛情、あこがれ……。さまざまな思いが詰まっています。すごく張り切っているブラームス。いろんなことに挑戦してみたいという姿が、音楽を通して見えてくるようです」
24歳のブラームスが完成した若き日の作品。
はじめ2台ピアノの作品として着想したとか、当初の第2楽章は《ドイツ・レクイエム》に転用されたとか、完成した第2楽章はミサ曲から転用したものとされているとか、いろんな「物語」のある作品だ。
「その第2楽章の讃美歌のような音楽など、伝統的な協奏曲の第2楽章のスタイルではありませんよね。ブラームスはオルガンも弾いていたり、いろんな分野からピアノ音楽にたどり着いた。ピアノだけを中心にしている人だったら、こんな音楽は書けないんじゃないかなと思うのです。