新国立劇場バレエ2024/2025シーズンは『眠れる森の美女』で開幕。初演から10年の熟成の舞台に注目
新国立劇場が開場記念公演として『眠れる森の美女』を上演したのは、1997年10月。新国立劇場の現舞踊芸術監督で、当時英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルだった吉田都を含む豪華ゲストを迎えた華々しい舞台をもって、新たな劇場、新たなカンパニーの誕生を強く印象づけた。このロシアのヴァージョンにかわる『眠れる森の美女』として2014年、大原永子前芸術監督のもとで誕生したのが、このウエイン・イーグリングによるオリジナルの『眠れる森の美女』だ。カナダ出身のイーグリングは、英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとして活躍、のちにイングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)の芸術監督を務めた振付家。彼が手がけた新たなヴァージョンは、プティパの流れをくむ伝統的な振付を尊重しつつ、随所に新鮮な魅力が光る作品として話題に。とくに、トウシューズを履いて踊るカラボスの大活躍や、第2幕の終盤、王子の口づけで目覚めたオーロラ姫と王子とのロマンティックなパ・ド・ドゥは、本作ならではの大きな見どころ。もちろん、主役ダンサーの技と表現力がめいっぱい発揮される第1幕のオーロラ姫の「ローズ・アダージオ」、終幕のグラン・パ・ド・ドゥも、瞬きするのも惜しいくらいの名場面だ。